「あれ、いつものでお願い」で着工して、後から数量や金額でもめる。請求したら一方的に値引きされる。いつ入金されるか分からない。設備工事や保守の協力会社(下請け)をしていると、こうした「不利を飲む」場面に覚えがあるはずです。
私はビルメンテナンス業界に15年いて、現場と本社の両方を経験し、発注する側として協力会社200社ほどとやりとりしてきました。その立場から正直に言うと、下請けを守る法律は確かにあります。ただ、知らずに「言われるまま」になっている協力会社がとても多い。
この記事では、次の3点をやさしくお伝えします。
- ✓なぜ協力会社は不利な条件を飲んでしまうのか
- ✓自社の取引は「建設業法」か「下請法」か(ここが分かれ目)
- ✓法律より先に効く、今日からできる自衛の3ルール
※この記事は基本的な考え方を分かりやすく整理したものです。対象になるかどうかや、具体的な金額・期日は資本金や取引内容で変わります。自社のケースの最終判断は、公正取引委員会・中小企業庁の公式情報や専門家にご確認ください。
なぜ協力会社は不利な条件を飲んでしまうのか
理由はシンプルで、約束が「書面」に残っていないからです。口頭で発注を受け、金額も納期も曖昧なまま着工する。すると後で「言った・言わない」になり、立場の弱い下請け側が折れることになります。
発注側を15年見てきて分かるのは、無茶を言ってくる相手ほど書面を嫌うということです。逆に、見積や発注の中身がきちんと文字で残っていると、後出しの減額も支払いの先延ばしもしづらくなります。
口頭での発注
「あれ、いつものでお願い」で着工。数量や金額が曖昧なまま進み、後でもめる。
後出しの減額
請求後に「今回は予算が…」と一方的に値引き。理由の説明もないまま。
支払いの先延ばし
いつ入金されるか分からない。催促もしづらく、資金繰りだけが苦しくなる。
共通点は、約束が「書面」に残っていないこと
自社の取引は「建設業法」か「下請法」か
下請けを守る法律というと「下請法」が有名ですが、設備業ではここに大事な分かれ目があります。電気や空調などの「工事の請負」は、下請法ではなく建設業法が守ります。一方で、設備の保守点検や機器の修理、書類・データの作成といった「役務の委託」は下請法の対象になり得ます。
どちらに当たるかで、もらうべき書面や支払いの考え方が変わります。下の表で、ざっくりの違いをつかんでください。
どちらでも共通:口頭でなく「書面」で約束し、やりとりを記録に残す
細かい区分や金額の基準は取引内容や資本金で変わるため、ここでは断定しません。ただ、どちらの法律でも共通して大事なのは「書面で約束し、記録を残す」という一点です。法律名を覚えるより、この習慣を持つほうが現場では効きます。
発注も見積も口頭でやりとりしていませんか?
書面と記録を残す事務の形、自社に合わせて一緒に整えます。
法律より先に効くのは「書面と記録」
トラブルになってから法律を持ち出すのは、正直しんどい作業です。それより、ふだんから見積・発注・やりとりを書面と記録に残しておくほうが、よほど自社を守ります。値引きを言われても「この見積の通りです」と返せますし、支払い遅れも記録があれば話が早い。
とはいえ、現場を回しながら書面をきちんと作り、案件ごとに記録を残すのは手間です。一般的な事務代行はひな形を渡して都度お願いする形が多く、設備の様式まで理解してはいません。谷津事務代行は設備の見積・発注の様式を理解した上で、書面の発行とやりとりの記録づくりをまるごと引き受け、自動で集約します。
今日からできる自衛の3ルール
難しい準備はいりません。次の3つを習慣にするだけで、不利を飲む場面はぐっと減ります。
- ・口頭で受けた発注は、その場でメールやLINEに書いて相手へ送り、文字で残す
- ・見積は金額だけでなく、数量・範囲・追加時の扱いまで書いておく
- ・受注前に「支払いはいつか」を必ず確認し、やりとりを保存しておく
どれも「書面に残す」という同じことの繰り返しです。これが、法律を持ち出す前のいちばん確実な守りになります。
まとめ
- ✓不利を飲んでしまう原因は、約束が書面に残っていないこと
- ✓設備は「工事の請負=建設業法」「保守点検など=下請法」と分かれる(詳細は公式・専門家へ)
- ✓法律より先に効くのは、見積・発注・支払い条件を書面と記録に残す習慣
書面で守るという意味では、下請けでも単価を上げる値上げの伝え方や、発注側に伝わる工事見積の書き方もあわせて読むと、守りと交渉の両方が固まります。
まずは自社の発注・見積が、いま口頭と書面のどちらで動いているかを教えてください。書面と記録を残す事務の形を、一緒に整えます。
