求人を出しても応募が来ない。来ても続かない。設備業の社長や一人親方から、ここ数年いちばんよく聞く悩みです。仕事はあるのに人がいない、だから自分が現場も事務も全部抱える。この状態が一番きついはずです。
私は設備・ビルメンテナンスの世界に15年いて、発注する側・管理する側として協力会社を200社ほど見てきました。その経験から先に結論を言うと、人手不足は「採用」だけでなく「雇わずに回す」という解き方があります。
この記事では、次の3点をお伝えします。
- ✓なぜ設備業の採用はこんなに難しいのか
- ✓採用の代わりに、外注で『1人分の人手』を確保したA社の実例
- ✓人を増やす前に、自社で踏むべき3手順
なぜ設備業は人を採用できないのか
理由は1つではありませんが、発注側から見ていて共通していたのは次の点です。
- ・そもそも応募が少ない(業界全体で人の取り合いになっている)
- ・採用できても、設備の知識を一人前にするまで数か月かかる
- ・教えた頃に辞められると、また振り出しに戻る
- ・繁忙期に合わせて雇うと、閑散期は人件費だけが残る
とくに見落とされがちなのが、社長が抱えている仕事の多くが「現場」ではなく「事務」だという点です。見積、写真報告書、案件管理、メール返信。これらは現場の腕とは別の仕事で、本来は社長がやらなくてもいいものが多く含まれています。
つまり人が足りないのではなく、社長1人に「現場」と「事務」の2人分が乗っているだけ、というケースが少なくありません。だとすれば、まず外せるのは事務のほうです。
採用と外注、どちらが向いているか
「人を増やす」と聞くと採用を思い浮かべますが、設備業の事務は外注のほうが向いている場面が多いです。両者を並べると違いがはっきりします。
採用は、戦力になるまでの教育期間と固定費、そして辞めるリスクを抱えます。外注は、初月から稼働でき、件数に合わせて使う量を調整できます。とくに繁閑の波がある設備業では、この「伸び縮みできる」という性質が効きます。
外注で「1人分の人手」を採用ゼロで確保した実例
ある設備メンテナンス会社(以下A社)は、人を雇う代わりに事務をまるごと外注しました。外したのは、見積・写真報告書・案件登録・メール対応の4業務です。
見積書の作成
1件40分 × 109件/月
約45時間/月
写真報告書の作成
1件30分 × 87件/月
約39時間/月
案件の登録・管理
1件15分 × 63件/月
約16時間/月
メール対応
1日2時間 × 毎日
約37時間/月
合計 ≒170時間/月 (=事務スタッフ約1人分を、採用ゼロで確保)
見積は過去データから工事費や諸経費を自動で算出し、確認と微修正だけに。写真報告書はAIが現場写真を読み取ってExcelに流し込み、1件3分に。案件はGoogleドライブと管理ツールへ自動登録され、手入力が消えました。合計すると月およそ170時間。事務スタッフ約1人分の時間を、求人も教育もせずに確保した計算です。
ポイントは、A社が「人を増やした」のではなく「人を増やさずに済む状態を作った」ことです。空いた170時間で、社長と現場スタッフは本来やるべき判断業務と現場対応に戻れました。
採用する前に、外注で何時間空くのか知りたい方へ。
今の事務量から「何人分の手が空くか」を概算でお出しします。
人を増やす前に踏む3手順
いきなり外注先を探すのではなく、順番があります。これを踏むと、無駄なく一番効くところから手放せます。
1
減らす
本当に自分でないとできない仕事だけ残し、定型の事務を洗い出す
2
任せる
時間が読めず属人化した事務(見積・写真報告書)から外に出す
3
自動化
繰り返す部分は仕組み化し、2回目以降の手間を減らし続ける
まず「減らす」。自分でないとできない仕事と、誰でもいい定型の事務を分けます。次に「任せる」。時間が読めず属人化している見積や写真報告書から外に出します。最後に「自動化」。繰り返す部分を仕組みにすれば、2回目以降の手間が減り続けます。
この順番で進めると、採用に踏み切る前に「そもそも人を増やさなくても回るかもしれない」が見えてきます。何から手放すと一番効くかは、事務を外注して月170時間を空けた実例が参考になります。自社のどこからDXすればいいか迷う場合は、設備業のDXは何から始めるかにまとめています。
まとめ
- ✓設備業の人手不足は、採用だけでなく『雇わずに回す』でも解ける
- ✓A社は事務を外注し、採用ゼロで月170時間=事務スタッフ約1人分を確保
- ✓進め方は『減らす→任せる→自動化』の順。まずは事務から外す
求人を出す前に、いまの事務のうち何を手放せるかを一度棚卸ししてみませんか。自社の事務量から、外注で空く時間の概算をお出しします。
