定期点検の予定でカレンダーが埋まり、気づけば利益の出る工事の見積や段取りに手が回らない。設備・工事の会社を経営していると、心当たりのある方は多いはずです。点検は数をこなさないと回らない。でも点検ばかりでは、単価の高い工事が後回しになり、忙しいのに利益が伸びない。

やっかいなのは、工程を埋めているのが点検そのものより、点検にぶら下がる報告書や段取りの事務だということ。ここを変えないと、点検をこなすだけで一日が終わる状態は続きます。

この記事では、次の3点をお伝えします。

  • ✓なぜ点検で予定が埋まり、利益の出る工事が回らないのか
  • ✓発注元は、点検と工事を回す業者をどう見ているか(発注側15年の視点)
  • ✓点検を“こなす業務”から仕組みに変えて、工事の枠を空ける方法

なぜ点検で予定が埋まり、利益の出る工事が回らないのか

点検は1件あたりの作業時間こそ短くても、店舗をまわる移動と段取りで一日が埋まります。そして本当に重いのは、現場から戻ってからの事務です。写真を整理し、1件ずつ報告書を作る。点検は中身がほぼ毎回同じなのに、報告書だけ毎回ゼロから作っているので、夜や週末にずれこんでいきます。

その結果、単価の高い工事の見積や段取りに使う時間が、低単価の点検まわりの事務に食われます。点検は止められない定期業務なので優先され、工事は「手が空いたら」になり、いつまでも空かない。忙しいのに利益が伸びない会社は、たいていこの構造にはまっています。

点検で予定が埋まるのは、だいたいこの3つから

点検は件数が多く移動で1日が終わる

1件あたりは短くても、店舗をまわる移動と段取りで工程が埋まる。点検だけで平日がほぼ埋まってしまう週がある

報告書づくりが夜と週末にずれこむ

現場から戻ってから写真を整理し、1件ずつ報告書を作る。点検そのものより、後ろにぶら下がる事務が時間を食う

利益の出る工事が後回しになる

点検をこなすだけで手一杯になり、単価の高い工事の見積や段取りに手が回らない。結局、低単価の業務で予定が埋まる

工程を埋めているのは点検そのものより、点検にぶら下がる報告書と段取りの事務

発注元は、点検と工事を回す業者をどう見ているか

私はビルメンの発注・管理側に15年いて、協力会社100社とやりとりしてきました。その立場から言うと、発注元が安心して任せたいのは、点検を毎回きちんと回しつつ、いざ工事が必要なときにも動ける業者です。

発注元から見ると、点検は「決まった周期で確実に上がってくること」が前提で、報告書が遅れたり様式がバラついたりすると管理側の手間が増えます。一方で、設備の不具合が見つかったときに工事までスムーズに任せられる業者は、別の会社を探す手間がなく重宝されます。つまり、点検で信用を積みながら、工事も受けられる余力がある業者が、結果的に発注を伸ばしていきます。点検に追われて工事の相談に動けない業者は、点検だけの相手として固定され、単価の高い仕事は別へ流れていきます。

点検を“こなす業務”から仕組みに変える

工事の枠を空ける近道は、点検の件数を無理に減らすことではありません。点検にぶら下がる事務を仕組みに乗せて、人がやる時間を削ることです。なかでも効くのは報告書づくり。点検は中身が毎回ほぼ同じなので、写真を定型フォーマットに流し込む形にすれば、1件ゼロから作っていた作業が大きく短くなります。

これまで(点検をこなすだけ)

  • ✗1件ごとに報告書を手作業で作る(夜にずれこむ)
  • ✗点検で工程が埋まり工事の見積が後回し
  • ✗低単価の点検に時間を取られ利益が伸びない

これから(点検を仕組みに乗せる)

  • ✓写真→定型フォーマットで報告書を自動化(20分→3分)
  • ✓点検の事務が減り工事の見積・段取りに回せる
  • ✓空いた工程に利益の出る工事を入れられる

「点検に追われる」 → 「工事枠が空く」

実際、ある設備メンテナンス会社(以下A社)は、写真報告書の作成を1件あたり20分から3分に短縮し、見積・案件管理・メールまで含めた事務全体で人手換算で月およそ105時間を空けました。点検にぶら下がっていた事務が減ったことで、その時間を工事の見積や段取りに回せるようになり、空いた工程に利益の出る工事を入れられるようになっています。

点検の報告書づくりに、毎月どれくらい時間をかけていますか?
点検まわりの事務をどこまで仕組みにできるか、概算をお出しします。

点検の現場だけ外注するのとの違い

点検を外注というと、現場の点検作業そのものを別の業者に頼む形を思い浮かべる方が多いはずです。ただ、これは現場の手は借りられても、報告書や記録の事務は自分の手元に残ることが多く、工程を埋めている事務はそのままになりがちです。

谷津事務代行は、点検報告書・日程連絡・記録の保管といった、点検のうしろにぶら下がる事務をまとめて仕組みにします。現場をこなすことではなく、事務を減らして工事の枠を空けることに効くのが違いです。

現場だけの外注
谷津事務代行(設備特化)
任せ方
点検の現場だけ外注/報告書は自分
報告書・日程・記録まで事務をまるごと
報告書
毎回ゼロから手作業で作る
写真→定型フォーマットで自動化(20分→3分)
工事への波及
点検で工程が埋まったまま
事務が減り、工事の枠が空く

今日からできる、点検の工程を軽くする3ルール

仕組みを入れる前でも、手元でできることがあります。次の3つを習慣にするだけで、点検まわりの時間は目に見えて減ります。

  • ・点検報告書の様式を1つに固定し、毎回その型に写真を当てはめるだけにする
  • ・点検と工事の予定を同じカレンダーで見て、工事の枠を先に確保してから点検を詰める
  • ・報告書づくりにかかった時間を1か月だけ記録し、どこを仕組みに回せるかを見える化する

様式を固定し、工事の枠を先に押さえるほど、点検は「予定を埋めるもの」から「決めた枠でこなすもの」に変わります。さらに報告書や記録を仕組みに乗せれば、人が手を動かす時間そのものを減らせます。

まとめ

  • ✓工程を埋めているのは点検そのものより、ぶら下がる報告書と段取りの事務
  • ✓発注元は、点検を確実に回しつつ工事にも動ける業者に発注を伸ばす
  • ✓報告書を仕組みに乗せて事務を減らせば、点検をこなしながら工事の枠が空く

点検の報告書そのものを速くする具体策は、定期点検の報告書を毎回ゼロから作らない方法にまとめています。空いた時間を工事の受注につなげたい場合は、工事見積を毎回ゼロから作らず流用で7割埋める方法もあわせてご覧ください。

まずは、点検の報告書づくりに毎月どれくらい時間をかけているかを教えてください。点検まわりの事務をどこまで仕組みにして、工事の枠をどれだけ空けられるか、概算をお出しします。