月末になると請求書の作成で2日が潰れる。この状態の原因は、書くのが遅いことではありません。1か月分をまとめて思い出そうとしていることです。
私は15年、発注・管理側で協力会社100社を見てきました。請求書が期日ぎりぎりに届く会社と、工事が終わるたびに届く会社があります。中身の丁寧さに大きな差はありません。違うのは請求を起こすきっかけを、月末に置いているか完了報告に置いているかだけでした。
この記事では、次の3点をお伝えします。
- ✓月末の2日が、実際には何に使われているか
- ✓請求のきっかけを完了報告へ移すと何が変わるか
- ✓翌日に請求を閉じるための3手順
月末の2日は、書く時間ではなく思い出す時間
請求書1件を作る作業そのものは、金額と内訳が決まっていれば10分ほどで終わります。それでも2日かかるのは、金額と内訳が決まっていない状態から始めているからです。
先月やった現場を手帳とLINEで数え直す。増えた作業がいくらだったかを見積書と突き合わせる。元請ごとに違う様式へ書き写す。この工程が案件の数だけ繰り返されます。件数が増えるほど、月末の負荷は比例して重くなります。
完了した工事を思い出す
手帳・LINE・メールを見返して、先月やった現場を並べ直す
金額の根拠を探す
見積書と、現場で増えた分の記録を照らし合わせる
書式を元請ごとに作り分ける
様式が違うので、同じ内容を何度も書き写す
抜けがないか数え直す
請求もれが怖いので、最初から全部を確認し直す
請求書そのものは1件10分で作れます。時間を取られているのは、その前の思い出す工程です。
発注側にいたとき、月末に慌てて出てきた請求書は金額の相談がしにくいものでした。こちらも締めが迫っているので、疑問があっても差し戻す時間がありません。結果として支払いが翌月に回ることがあります。急いで出したのに入金が遅れるのは、この順番が原因です。
請求のきっかけを、完了報告に移す
工事が終わった日は、内容も金額も一番はっきりしている日です。現場の写真があり、追加になった作業も覚えています。ここで請求の材料を確定させておけば、月末に思い出す作業はなくなります。
やることは、完了報告と請求を同じ流れに乗せることだけです。完了報告を出したら、その内容を写して請求書にする。報告と請求で別々の記録を持たないようにします。
これまで
月末にまとめて起こす
1か月分の記憶をさかのぼる。月末の2日が固定で埋まり、他の仕事が入れられない
変えた後
完了報告の翌日に閉じる
1件ずつその場で終わる。月末に残るのは、出し忘れがないかの確認だけ
減らすのは請求書を書く時間ではなく、思い出すために使う時間
前提として、完了報告そのものが遅れていると、この流れは動きません。作業が終わってから思い出して報告を作る形だと、忙しい月に必ず後ろへずれます。完了報告を当日中に流す仕組みを先に整えると、請求もそのまま後ろについてきます。
先月の請求書、何日から作り始めましたか?
完了報告と請求を同じ台帳に置くだけで、月末の作業は確認だけになります。
管理表を増やさず、翌日に閉じる3手順
新しいソフトを入れる前に、記録の置き場所を減らします。請求が遅れる会社は、案件表・完了報告・請求控えが別々のファイルに分かれていることがほとんどです。ここを揃えるだけで、月末の突き合わせが要らなくなります。
私が手伝っている設備メンテナンス会社では、この考え方で事務の工程をつなぎ直しました。見積書の作成が1件20分から8分、写真報告書が1件20分から3分になり、4業務あわせて人手換算で月約105時間の削減になっています。特別なシステムを入れたのではなく、同じ情報を二度書かない形にしただけです。
請求の出し忘れや金額違いが続いている場合は、確認の順番から見直すほうが早く効きます。送付リストと突合チェックで請求もれをなくす方法も合わせてご覧ください。
まとめ
- ✓月末の2日は請求書を書く時間ではなく、1か月分を思い出す時間に使われている
- ✓請求のきっかけを完了報告に移せば、内容と金額が確定している日に閉じられる
- ✓台帳を1枚にして完了報告の写しから起こせば、月末に残るのは出し忘れの確認だけになる
請求書の作成を早くする必要はありません。工事が終わった日にそのまま請求まで進める形にすれば、月末に取り戻す作業がなくなります。入金の遅れも、この順番を変えるだけで減らせます。

